行政書士試験は、法律系国家資格の中では比較的取り組みやすいとされていますが、合格率は例年10〜15%と決して高くはありません。独学でも合格可能な資格ですが、しっかりとした対策が必要です。
「行政書士試験は実際どれくらい難しいの?」「合格率の推移はどうなっている?」こうした疑問に答えるべく、この記事では行政書士試験の合格率データを詳しく分析し、難易度の実態と合格のための戦略を解説します。

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行政書士試験の合格率の推移
過去の合格率データ
行政書士試験の合格率は、年度によって変動がありますが、おおむね10〜15%の範囲で推移しています。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 50,163人 | 7,292人 | 14.54% |
| 令和6年度 | 47,785人 | 6,165人 | 12.90% |
| 令和5年度 | 46,991人 | 6,571人 | 13.98% |
| 令和4年度 | 47,850人 | 5,802人 | 12.13% |
| 令和3年度 | 47,870人 | 5,353人 | 11.18% |
| 令和2年度 | 41,681人 | 4,470人 | 10.72% |
| 令和元年度 | 39,821人 | 4,571人 | 11.48% |
近年は合格率が上昇傾向にあり、令和7年度は14.54%と高い水準を記録しました。受験者数も増加傾向にあり、行政書士資格への関心が高まっていることがうかがえます。
合格基準点
行政書士試験の合格基準は以下のとおりです。
- 法令科目:244点満点中122点以上(50%以上)
- 一般知識科目:56点満点中24点以上(約43%以上)
- 全体:300点満点中180点以上(60%以上)
3つの基準をすべて満たす必要があるため、法令科目で高得点を取っても、一般知識で24点に達しなければ不合格となります。
行政書士試験は「絶対評価」の試験です。300点中180点以上を取れば、何人でも合格できます。宅建や社労士のように相対的に合格ラインが変動することはないため、自分との勝負に集中できる試験制度です。
行政書士試験の難易度はどれくらい?
偏差値で見る行政書士の位置づけ
行政書士試験は、資格難易度の偏差値で60〜64程度とされています。「やや難しい〜難しい」に分類され、法律系国家資格の中では中程度の難易度です。
他の国家資格との比較
| 資格名 | 合格率 | 勉強時間の目安 | 難易度偏差値 |
|---|---|---|---|
| 司法書士 | 約4〜5% | 約3,000時間 | 76〜78 |
| 社会保険労務士 | 約5〜7% | 約800〜1,000時間 | 65〜68 |
| 行政書士 | 約10〜15% | 約600〜800時間 | 60〜64 |
| 宅地建物取引士 | 約15〜18% | 約200〜400時間 | 55〜58 |
行政書士は「宅建の次のステップ」として位置づけられることが多いです。宅建合格者が次のキャリアアップとして挑戦するケースも多く見られます。

行政書士試験が難しいと感じる4つの理由
理由1:行政法の出題範囲が広い
行政法は試験の最重要科目ですが、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法と、カバーすべき法律が多岐にわたります。それぞれの法律の手続きや要件を正確に区別して覚える必要があります。
理由2:民法の記述式問題
行政書士試験では、記述式問題が3問出題されます(行政法1問・民法2問、各20点)。記述式は40字程度の文章で解答する形式で、択一式とは異なるスキルが求められます。条文の要件を正確に書き出す訓練が必要です。
理由3:一般知識の足切り
一般知識科目で14問中6問以上を正解しないと、法令科目の得点に関係なく不合格です。政治・経済・社会は出題範囲が無限に広いため、対策が難しい分野です。
理由4:思考力を問う問題の増加
近年の行政書士試験では、単に条文を暗記するだけでは対応できない、事例を読み解いて法的に分析する能力が求められる問題が増えています。特に民法では、具体的な事例に法律を適用して結論を導く力が試されます。
「合格率10〜15%だから、宅建よりちょっと難しい程度」と考えるのは危険です。宅建が200〜400時間で合格を狙えるのに対し、行政書士は600〜800時間の学習が必要です。必要な学習量と思考力のレベルは、宅建とは大きく異なります。詳しくは以下の記事で解説しています。
https://shikaku-navi-lab.com/?p=516
合格するための科目別攻略法
行政法(112点):最重要科目を徹底攻略
行政法は全体の約37%を占める最重要科目です。ここで高得点を取ることが合格の前提条件です。
- 行政手続法・行政不服審査法は条文の正確な暗記が必要
- 行政事件訴訟法は訴訟類型の違いを整理する
- 判例は最高裁判例を中心に、結論と理由を押さえる
- 行政法で80点以上(約71%以上)を目標にする
民法(76点):理解重視で取り組む
民法は暗記だけでは太刀打ちできない科目です。「なぜそのような規定になっているのか」を理解することで、応用問題にも対応できるようになります。記述式問題も出題されるため、条文の要件を正確に書けるレベルまで理解を深めましょう。
憲法(28点):判例の理解が鍵
憲法は択一式5問・多肢選択式1問が出題されます。人権判例と統治機構の条文を中心に学習しましょう。過去に出題された判例は繰り返し出題される傾向があるため、過去問での対策が効果的です。
一般知識(56点):文章理解で確実に3問取る
一般知識の足切りを回避する戦略は、文章理解3問で満点を狙い、個人情報保護法(情報通信分野)で2〜3問を確保することです。この2分野で5〜6問取れれば、政治・経済・社会で1問取るだけで足切りをクリアできます。

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行政書士試験の学習時間と学習計画
必要な勉強時間の目安
| 学習者のタイプ | 勉強時間の目安 | 学習期間の目安 |
|---|---|---|
| 法律学習が初めての方 | 800〜1,000時間 | 10ヶ月〜1年半 |
| 宅建合格者 | 600〜700時間 | 8ヶ月〜1年 |
| 法学部出身者 | 400〜600時間 | 6ヶ月〜8ヶ月 |
宅建を取得済みの方は、民法の基礎知識があるため、行政法の学習に集中できる分、学習期間を短縮できます。
効率的な学習の進め方
- 入門書で全体像を把握する(1〜2週間)
- 行政法→民法→憲法の順にテキストを読み進める
- テキスト1章読むごとに、該当範囲の肢別問題集を解く
- テキスト通読後、過去問10年分を3周以上解く
- 記述式対策を試験5ヶ月前から開始する
- 一般知識対策は試験3ヶ月前から集中的に行う
行政書士試験の学習では、行政法の学習を最優先にしましょう。配点が最も高く、対策の成果が得点に反映されやすい科目です。行政法に学習時間の30〜35%を充てるのが理想的です。詳しくは以下の記事で解説しています。
https://shikaku-navi-lab.com/?p=517
行政書士資格を取得するメリット
独立開業が可能
行政書士は、許認可申請や契約書作成などの書類作成を代行する専門家です。資格を取得すれば独立開業が可能で、自分のペースで働くことができます。
他の資格とのダブルライセンス効果
行政書士は、社労士やFPなどの資格と組み合わせることで、業務の幅が大きく広がります。特に社労士との組み合わせは、労働・社会保険の手続きから許認可申請まで一貫して対応できるため、企業からの需要が高いです。
法律知識が実生活にも役立つ
行政書士試験で身につける民法や行政法の知識は、日常生活やビジネスでも活用できます。契約トラブルの予防、相続の手続き、行政への申請など、幅広い場面で役立つ実用的な知識です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 行政書士試験は独学で合格できますか?
はい、独学で合格する方は毎年多くいます。行政書士試験は絶対評価の試験であり、180点以上取れば合格できるため、良質な参考書と計画的な学習で十分に対応可能です。ただし、600〜800時間以上の学習時間は確保する必要があります。
Q2. 行政書士試験は何回目で合格する人が多いですか?
1〜2回目の受験で合格する方が多いです。社労士や司法書士に比べると、少ない受験回数で合格に至るケースが多い傾向があります。ただし、一般知識の足切りで不合格になるケースも一定数あるため、油断は禁物です。
Q3. 行政書士と宅建はどちらが難しいですか?
行政書士のほうが難易度は高いです。必要な学習時間は宅建の2〜3倍、合格率は宅建より低く、記述式問題も出題されます。ただし、宅建の学習で身につけた民法の知識は行政書士の学習に活かせるため、宅建合格後に挑戦するとスムーズです。
Q4. 行政書士の年収はどれくらいですか?
勤務行政書士の場合、年収は300万〜500万円程度が一般的です。独立開業の場合は、開業初期は年収200万〜300万円程度ですが、顧客基盤が安定すると年収600万〜1,000万円以上も可能とされています。専門分野を持つことが収入アップの鍵です。
Q5. 行政書士試験に受験資格はありますか?
受験資格に制限はなく、年齢・学歴・国籍を問わず誰でも受験できます。ただし、資格登録の際には欠格事由に該当しないことが条件です。
まとめ
行政書士試験の合格率と難易度について、ポイントを整理します。
- 合格率は10〜15%で推移。近年はやや上昇傾向
- 合格基準は300点中180点以上の絶対評価
- 一般知識の足切り(56点中24点以上)に要注意
- 行政法が最重要科目で、配点の37%を占める
- 勉強時間は600〜800時間が目安
- 記述式対策を怠らないことが合格の鍵
行政書士試験は、正しい方法で計画的に学習すれば、独学でも十分に合格を狙える試験です。合格率の数字に臆することなく、着実に学習を積み重ねていきましょう。
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