行政書士試験の受験を考えるとき、まず気になるのが「合格率はどのくらいなのか」「自分でも合格できるのか」という点ではないでしょうか。
行政書士試験は例年の合格率が10〜15%前後で推移しており、決して簡単な試験ではありません。しかし、同じ法律系資格の司法書士(合格率4〜5%)や社労士(合格率6〜7%)と比較すると、「手が届かない資格」ではないことがわかります。
この記事では、行政書士試験の合格率の推移を詳しく分析し、試験の難易度を他の資格と比較しながら解説します。さらに、合格率の裏にある実態と、合格するための具体的な戦略もお伝えしますので、受験を検討中の方はぜひ参考にしてください。

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行政書士試験の合格率推移
近年の行政書士試験の合格率を確認しましょう。
| 実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 直近1年前 | 約46,000人 | 約6,500人 | 約14.0% |
| 直近2年前 | 約47,000人 | 約5,800人 | 約12.1% |
| 直近3年前 | 約48,000人 | 約5,800人 | 約12.1% |
| 直近4年前 | 約47,000人 | 約5,300人 | 約11.2% |
| 直近5年前 | 約41,000人 | 約4,500人 | 約10.7% |
合格率は10〜14%程度で推移しており、近年はやや上昇傾向にあります。受験者数は4万人台後半で安定しており、毎年5,000〜6,500人程度が合格しています。
最新の試験データは一般財団法人行政書士試験研究センターの公式サイトで確認できます。
行政書士試験は「絶対評価」です。300点中180点を取れば、受験者全員が合格できます。合格率が変動するのは、問題の難易度が年によって異なるためです。
行政書士試験が難しいと言われる5つの理由
合格率10〜15%という数字の裏には、以下のような理由があります。
1. 出題範囲が広い
行政書士試験の出題範囲は、憲法、行政法、民法、商法・会社法、基礎法学の法令5科目に加えて、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解の基礎知識科目があります。
特に行政法は出題範囲が非常に広く、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法と複数の法律をカバーする必要があります。
2. 記述式問題の存在
行政書士試験の特徴の一つが記述式問題です。40字程度で法律上の論点を正確に表現する必要があり、択一式の知識だけでは対応できない応用力が求められます。配点も60点(全体の20%)と大きく、記述式の出来が合否を分けることも珍しくありません。
3. 基礎知識科目の足切り
基礎知識科目は56点中24点以上が必要です。法令科目でどれだけ高得点を取っても、基礎知識科目で足切りにかかれば不合格です。政治・経済・社会の分野は出題範囲が広く、対策が難しい科目です。
4. 民法の改正と複雑化
民法は近年大幅な改正が行われ、債権法の分野を中心に内容が大きく変わりました。改正後の内容に対応した学習が必要であり、古い知識のまま受験すると失点する危険があります。
5. 受験資格が不要で受験者層が幅広い
行政書士試験は受験資格の制限がなく、誰でも受験できます。そのため、十分な準備をせずに「とりあえず受験してみた」という方も一定数含まれます。合格率が低く見える一因は、このような受験者層の幅広さにあります。

他の資格と難易度を比較
行政書士試験の難易度を、他の資格と比較してみましょう。
司法書士と比較
司法書士試験の合格率は4〜5%と、行政書士の半分以下です。必要な勉強時間は3,000時間程度と言われており、行政書士の600〜800時間とは大きな開きがあります。試験の難易度は明確に司法書士のほうが上です。
社労士と比較
社労士試験の合格率は6〜7%で、行政書士よりもやや低い水準です。社労士は「足切り科目が多い」という独自の難しさがあり、単純な難易度比較は困難ですが、一般的には社労士のほうがやや難しいと位置づけられることが多いです。
ただし、法律系の素養がある方は行政書士のほうが得意、実務系の知識がある方は社労士のほうが取り組みやすいなど、個人の適性による部分も大きいです。
宅建士と比較
宅建士の合格率は15〜17%で、行政書士よりもやや高い水準です。必要な勉強時間も300〜400時間程度で、行政書士の半分程度です。行政書士は宅建士より一段階上の難易度と考えてよいでしょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)と比較
FP2級の合格率は40〜60%で、行政書士とは明確に難易度が異なります。FPは入門資格としての位置づけが強く、行政書士とは試験のレベルが違います。
司法試験と比較
司法試験(予備試験ルート)は合格率3〜4%で最難関の法律系資格です。行政書士試験はこれと比べるとはるかに取得しやすい資格であり、法律系キャリアの第一歩として最適な位置づけにあります。
行政書士は「やや難しい」カテゴリーの資格です。宅建士よりは難しいが、社労士や司法書士ほどではない。正しい方法で半年〜1年の学習を行えば、十分に合格可能な資格です。
合格率の「実態」を正しく理解する
公表されている合格率の数字だけでは見えない実態があります。数字の裏側を理解することで、必要以上に不安を抱かずに済みます。
実質的な合格率はもっと高い
行政書士試験の受験者には、以下のような層が含まれています。
- 「記念受験」で十分な準備をしていない方
- 学習を途中で断念したまま受験した方
- 来年の本番に向けた「試し受験」の方
しっかり準備をして受験に臨んだ層に限定すると、実質的な合格率は公表数字よりもかなり高くなると考えられます。
絶対評価の安心感
行政書士試験は180点を取れば合格できる「絶対評価」です。他の受験生がどれだけ優秀でも、自分が180点を取れば合格です。相対評価の試験と異なり、合格の条件が明確であるため、学習の目標を立てやすいのがメリットです。
年による合格率の変動要因
合格率が年によって10〜14%と変動する主な要因は、問題の難易度です。問題が難しい年は合格率が下がり、易しい年は上がります。合格基準点は毎年180点で固定されているため、問題の難易度がそのまま合格率に反映されます。

行政書士の通信講座について詳しくは以下の記事で解説しています。

合格するための具体的な戦略
行政書士試験に合格するための、科目別の得点戦略を解説します。
目標得点の設定
合格に必要な180点を確実に超えるために、以下の目標得点を設定しましょう。
| 科目 | 配点 | 目標得点 |
|---|---|---|
| 行政法(択一+多肢+記述) | 112点 | 80点以上 |
| 民法(択一+記述) | 76点 | 50点以上 |
| 憲法 | 28点 | 20点以上 |
| 商法・会社法 | 20点 | 12点以上 |
| 基礎法学 | 8点 | 4点以上 |
| 基礎知識科目 | 56点 | 32点以上 |
| 合計 | 300点 | 198点(目標) |
合格基準180点に対して、目標は198点と余裕を持たせています。記述式の採点にはブレが出やすいため、択一式だけで140点以上を目指すのが安全な戦略です。
行政法で稼ぐ
行政法は配点が最も大きく、対策もしやすい科目です。行政手続法と行政不服審査法は条文数が比較的少ないため、条文の暗記で確実に得点できます。地方自治法の数字問題も、覚えてしまえば確実に得点源になります。
民法は記述式込みで考える
民法は択一式36点+記述式40点の合計76点です。択一式で24点以上、記述式で26点以上を目指しましょう。記述式は部分点が与えられるため、完璧な解答でなくてもキーワードを含む解答を書ければ得点できます。
基礎知識科目で足切り回避
基礎知識科目の足切り(24点)を確実にクリアするためのポイントは以下のとおりです。
- 文章理解(3問)は全問正解を狙う(対策しやすく確実な得点源)
- 個人情報保護法は条文学習で確実に得点する
- 政治・経済・社会は時事問題に日頃からアンテナを張る
商法・会社法に時間をかけすぎないでください。配点20点に対して出題範囲が広く、コスパが悪い科目です。5問中3問の正解を目指す「最低限戦略」が効率的です。
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合格者に共通する5つの特徴
毎年5,000人以上が合格している行政書士試験。合格者に共通する特徴を見ていきましょう。
1. 行政法と民法に学習時間を集中させている
合格者の多くは、全学習時間の60〜70%を行政法と民法に投入しています。この2科目で188点分(全体の約63%)を占めるため、ここを得意科目にすることが合格の最大の鍵です。
2. 過去問を徹底的にやり込んでいる
合格者は例外なく、過去問を3回以上繰り返しています。出題パターンを身体で覚えるまでやり込むことで、本番での得点力が飛躍的に向上します。
3. 記述式対策を早い段階から始めている
記述式を後回しにして痛い目を見る受験生は多いですが、合格者は比較的早い段階から記述式の練習を始めています。実際に手を動かして書く練習が重要です。
4. 模擬試験を複数回受けている
本番さながらの緊張感の中で3時間の試験を体験しておくことで、当日の焦りを軽減できます。合格者の多くは最低2〜3回の模擬試験を受けています。
5. 学習を継続する仕組みを作っている
勉強仲間とのつながり、学習記録アプリの活用、短期目標の設定など、学習を継続するための仕組みを自分なりに構築しています。

受験者データから見える傾向
行政書士試験の受験者層を分析すると、いくつかの特徴的な傾向が見えてきます。
受験者の年齢層
行政書士試験は20代から60代以上まで幅広い年齢層が受験しています。最も多いのは30代〜40代ですが、50代以上の方も多く受験しており、「何歳からでも挑戦できる資格」と言えます。
受験者の職業
会社員が最も多く、次いで公務員、学生、自営業の順です。仕事をしながら受験する方が大半であり、学習時間の確保が共通の課題となっています。
合格までの受験回数
一発合格は全体の3〜4割程度と言われており、2〜3回の受験で合格する方が過半数です。初回で不合格になっても、翌年に合格するケースは非常に多いです。
合格者の勉強時間
合格者の平均学習時間は600〜800時間程度です。1日2時間の学習を約1年間継続する計算になります。法律学習の経験がある方はこれより短い時間で合格するケースもあります。
行政書士の仕事内容や将来性については日本行政書士会連合会のサイトも参考になります。
一発合格にこだわる必要はありません。1回目で試験の全体像を掴み、2回目で合格するのも立派な戦略です。大切なのは「合格するまで受け続けること」です。
行政書士の勉強法について詳しくは以下の記事で解説しています。

行政書士の合格率と難易度に関するQ&A
Q1. 行政書士は独学でも合格できますか?
独学での合格は十分に可能です。行政書士試験は絶対評価のため、自分のペースで180点を目指す学習ができます。ただし、記述式対策や学習計画の管理など、独学ならではの難しさはあります。自己管理能力に自信がない方は、通信講座の活用も検討しましょう。
Q2. 法律の知識がなくても合格できますか?
法律初学者でも十分に合格可能です。実際に多くの合格者が法律学習未経験からスタートしています。ただし、法律用語に慣れるまでに時間がかかるため、学習期間は余裕を持って設定しましょう。800時間程度の学習時間を確保できれば、初学者でも合格圏に入れます。
Q3. 合格率が上がっている理由は何ですか?
近年の合格率上昇は、主に問題の難易度調整によるものと考えられます。また、オンライン学習ツールの普及により、効率的に学習できる環境が整ってきたことも一因かもしれません。ただし、合格率の変動は年によって異なるため、今後も上昇が続くとは限りません。
Q4. 行政書士と社労士のダブルライセンスは有効ですか?
非常に有効です。行政書士は許認可申請の専門家、社労士は労務・社会保険の専門家であり、業務領域が補完的です。両方の資格を持つことで、企業に対してワンストップでサービスを提供できるようになり、独立開業時の強力な武器になります。
Q5. 行政書士試験は今後難しくなりますか?
試験制度の大幅な変更がない限り、急激に難易度が変わる可能性は低いと考えられます。ただし、個人情報保護法やデジタル関連法の改正など、新しい分野からの出題が増える傾向はあります。最新の法改正にアンテナを張ることが、今後ますます重要になるでしょう。
Q6. 行政書士資格を取得した後の年収はどのくらいですか?
行政書士の年収は働き方によって大きく異なります。開業行政書士の場合は年収300万〜800万円程度が一般的ですが、専門分野を確立した方は1,000万円以上を稼ぐケースもあります。企業に勤務する場合は、資格手当や昇進・転職に活かせるメリットがあります。
Q7. 何回不合格になったら諦めるべきですか?
回数で区切る必要はありません。大切なのは「毎回の不合格から学びを得ているか」です。不合格の原因を分析し、次の受験に活かす姿勢がある限り、挑戦を続ける価値があります。ただし、毎年同じような点数で不合格になっている場合は、学習方法の見直しが必要です。

まとめ
行政書士試験は合格率10〜15%の国家資格ですが、正しい戦略で十分な学習時間を確保すれば、合格は現実的な目標です。
この記事のポイントを整理します。
- 合格率は10〜15%で推移、近年はやや上昇傾向
- 絶対評価(180点以上で合格)のため、他の受験生との競争ではない
- しっかり準備した人の実質合格率は、公表数字よりかなり高い
- 行政法と民法に学習時間の60〜70%を集中させるのが合格の鍵
- 記述式対策を早い段階から始めることが重要
- 2〜3回の受験で合格するのは普通のこと
合格率の数字に怖気づく必要はありません。毎年5,000人以上が新たに行政書士資格を手にしています。正しい方法でコツコツと学習を続ければ、あなたもその一人になれるはずです。
試験の最新情報や申込手続きについては行政書士試験研究センター公式サイトを確認してください。
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最後までお読みいただきありがとうございます。長時間の勉強で目や体に負担を感じている方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

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