社労士(社会保険労務士)試験は、合格率5〜7%前後で推移する難関国家資格です。10科目にわたる広い出題範囲と、科目ごとの合格基準点が設定されている独特の試験制度が、多くの受験者を苦しめています。
「社労士試験って実際どれくらい難しいの?」「他の資格と比べてどのレベル?」そんな疑問を持つ方に向けて、この記事では社労士試験の合格率の推移データと難易度を徹底分析し、合格するための戦略まで詳しく解説します。

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社労士試験の合格率の推移
過去10年間の合格率データ
社労士試験の合格率は、年度によって変動がありますが、概ね5〜7%の範囲で推移しています。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 約42,000人 | 約2,300人 | 5.5% |
| 令和6年度 | 約43,000人 | 約2,900人 | 6.9% |
| 令和5年度 | 約42,700人 | 約2,700人 | 6.4% |
| 令和4年度 | 約40,600人 | 約2,100人 | 5.3% |
| 令和3年度 | 約37,300人 | 約2,900人 | 7.9% |
| 令和2年度 | 約34,800人 | 約2,200人 | 6.4% |
| 令和元年度 | 約38,400人 | 約2,500人 | 6.6% |
合格率は年度によって5%台から7%台まで幅があるのがわかります。令和3年度の7.9%が近年の最高値で、令和4年度の5.3%が最低値です。試験の難易度は年度によってかなり変動するといえます。
合格率が特に低かった年度
過去に最も合格率が低かったのは、平成27年度(第47回)の2.6%です。この年度は選択式の合格基準点の引き下げ(救済措置)がほとんど行われず、多くの受験者が科目別基準点で不合格となりました。この数字は試験史上最低記録であり、社労士試験の厳しさを象徴するデータです。
合格率の変動は、試験問題の難易度だけでなく、合格基準点の設定にも大きく左右されます。社労士試験は「絶対評価」に近い試験であるため、問題が難しい年は合格率が下がり、やさしい年は上がる傾向があります。
社労士試験の難易度はどれくらい?
他の国家資格との比較
社労士試験の難易度を、他の国家資格と比較して確認してみましょう。
| 資格名 | 合格率 | 勉強時間の目安 | 難易度偏差値 |
|---|---|---|---|
| 司法書士 | 約4〜5% | 約3,000時間 | 76〜78 |
| 社会保険労務士 | 約5〜7% | 約800〜1,000時間 | 65〜68 |
| 行政書士 | 約10〜15% | 約600〜800時間 | 60〜64 |
| 宅地建物取引士 | 約15〜18% | 約200〜400時間 | 55〜58 |
| FP2級 | 約25〜40% | 約150〜300時間 | 48〜52 |
社労士は合格率で見ると司法書士に次ぐ難関ですが、必要な勉強時間は司法書士の3分の1程度です。これは、社労士試験が「広く浅い知識」を問うのに対し、司法書士試験は「深い法的思考力」を問う試験であるという性質の違いを反映しています。
社労士と行政書士の難易度比較
社労士と行政書士はよく比較される資格ですが、試験の性質はかなり異なります。
- 社労士:暗記中心。科目数が多く、科目別合格基準点がある。「広く正確に覚える力」が必要
- 行政書士:民法・行政法の法的思考力が重視される。記述式問題がある。「理解して応用する力」が必要
合格率だけを見ると社労士のほうが難しく見えますが、向き不向きによって体感難易度は異なります。暗記が得意な方は社労士、論理的思考が得意な方は行政書士に向いている傾向があります。

社労士試験の合格率が低い5つの理由
理由1:科目別合格基準点の存在
社労士試験の最大の特徴は、科目ごとに合格基準点が設定されていることです。選択式は各科目5点満点中3点以上(一部科目で2点に引き下げられる場合あり)、択一式は各科目10点満点中4点以上を取る必要があります。
たとえ総得点が合格ラインを超えていても、1科目でも基準点に達していなければ不合格です。この制度のため、「得意科目で稼いで苦手科目をカバーする」という戦略が通用しません。
理由2:出題範囲が膨大
社労士試験は労働基準法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法など10科目に及びます。それぞれの科目に数値(日数・金額・届出期限など)の暗記が求められるため、すべてを正確に覚えるのは容易ではありません。
理由3:選択式試験の「地雷科目」
選択式試験では、特定の科目で極端に難しい問題が出題されることがあります。テキストに載っていないような細かい論点が出題され、多くの受験者がその科目で基準点割れを起こすケースがあります。いわゆる「地雷科目」と呼ばれるこの現象が、合格率を押し下げる要因の一つです。
理由4:法改正の頻度が高い
社労士試験の出題範囲は、法改正の影響を受けやすい分野が多いです。年金制度や雇用保険制度は頻繁に改正されるため、常に最新の法改正情報をフォローし続ける必要があります。詳しくは以下の記事で解説しています。

理由5:試験時間の制約
択一式試験は70問を210分で解く必要があり、1問あたり3分しかありません。問題文が長文化している近年の傾向を考えると、時間配分のマネジメントも重要なスキルです。
合格率が低い理由を見て「やっぱり無理かも」と思うかもしれませんが、逆に言えば「正しい対策を知っている人は有利」ということです。科目別基準点対策、法改正対応、選択式対策を意識した学習が合格のカギです。
合格基準点の仕組みを理解する
選択式試験の合格基準
選択式試験は8科目、各科目5点満点で合計40点満点です。合格基準は以下のとおりです。
- 総得点:40点満点中、例年24〜28点程度
- 科目別基準点:各科目5点満点中3点以上(ただし、正答率が著しく低い科目では2点に引き下げられる場合がある)
択一式試験の合格基準
択一式試験は7科目、各科目10点満点で合計70点満点です。
- 総得点:70点満点中、例年44〜49点程度
- 科目別基準点:各科目10点満点中4点以上
合格のためには「総得点」と「全科目の基準点」の両方をクリアする必要があるため、バランスの取れた学習が不可欠です。


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合格するための学習戦略
戦略1:苦手科目を作らない
科目別合格基準点がある以上、1科目でも放置するわけにはいきません。全科目を一定レベル以上に引き上げることが最優先です。学習初期から全科目にまんべんなく取り組み、苦手分野を早期に特定して重点的に対策しましょう。
戦略2:選択式対策を怠らない
択一式の過去問演習に時間をかけすぎて、選択式対策が手薄になる受験者が多いです。選択式は「1科目でも3点未満なら不合格」という厳しい基準があるため、条文の正確な暗記と、判例・通達の理解が重要です。
戦略3:法改正情報を確実に押さえる
法改正は試験で高い確率で出題されます。テキストの法改正情報をチェックするだけでなく、厚生労働省の公式サイト(厚生労働省)で最新の制度変更を確認する習慣をつけましょう。
戦略4:模試で本番のシミュレーションを行う
試験1〜2ヶ月前には、本番と同じ形式の模試を最低2回は受けることをおすすめします。時間配分の感覚を掴むことと、科目別基準点のシミュレーションが目的です。
模試の結果では、総得点だけでなく科目別の得点にも必ず注目してください。総得点が合格ラインを超えていても、1科目でも基準点割れがあれば本番では不合格です。基準点割れの科目を直前期に集中的に対策しましょう。
社労士資格を取得するメリット
人事・労務のスペシャリストとして活躍
社労士は、企業の人事・労務管理、社会保険手続き、給与計算などの分野で専門家として活躍できます。企業内社労士として人事部門でキャリアアップする道と、独立開業して企業の顧問として活動する道があります。
独立開業が可能
社労士は独立開業型の資格です。実務経験を積んだうえで独立すれば、企業の顧問契約や助成金申請の代行など、安定した収入を得ることが可能です。詳しくは以下の記事で解説しています。



他の資格との組み合わせで価値が高まる
社労士の資格は、行政書士やFPと組み合わせることで、提供できるサービスの幅が広がります。ダブルライセンスによって、他の士業との差別化を図ることができます。
よくある質問(Q&A)
Q1. 社労士試験は何回目で合格する人が多いですか?
一般的に、2〜3回目の受験で合格する方が多いとされています。1回目の受験で合格する方もいますが、科目別基準点の壁に阻まれて惜しくも不合格になるケースが多いです。複数回の受験を想定して、計画的に学習を進めることが大切です。
Q2. 社労士試験の独学は可能ですか?
可能ですが、合格率5〜7%の試験であるため、独学のハードルは高いです。独学で合格する方は、計画的な学習スケジュールの管理、法改正情報の自力でのキャッチアップ、選択式対策のための条文暗記を徹底している方が多いです。
Q3. 社労士試験に合格するための勉強時間はどれくらいですか?
独学の場合は800〜1,000時間、通信講座・予備校を利用する場合は600〜700時間が目安です。1日3時間の学習で約1年かかる計算になります。
Q4. 社労士試験で最も難しい科目はどれですか?
個人差はありますが、多くの受験者が苦手としているのは「国民年金法」と「厚生年金保険法」です。年金の仕組みは複雑で、数値の暗記量が非常に多いことが理由です。逆に、実務経験がある方は「労働基準法」や「労災保険法」を得意とする傾向があります。
Q5. 社労士の平均年収はどれくらいですか?
勤務社労士の場合は年収400万〜600万円程度、独立開業の場合は個人差が大きく、年収300万〜1,000万円以上まで幅があります。顧問先の数や提供するサービスの内容によって大きく変わります。
まとめ
社労士試験の合格率と難易度について、ポイントを整理します。
- 合格率は5〜7%で推移する難関試験
- 科目別合格基準点があるため、苦手科目を作らないことが最重要
- 選択式の「地雷科目」に備えた幅広い学習が必要
- 勉強時間は独学で800〜1,000時間が目安
- 法改正からの出題が頻出するため、最新情報のフォローが不可欠
- 2〜3回の受験で合格する方が多い
社労士試験は合格率だけを見ると非常に難しい試験ですが、科目別基準点の仕組みを理解し、バランスの取れた学習を計画的に進めれば、合格は十分に可能です。難関だからこそ、取得後の価値も高い資格です。ぜひチャレンジしてみてください。
参考リンク:


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