税理士試験は5科目に合格する必要がある難関資格ですが、実は大学院を修了することで一部の科目が免除される制度があることをご存じでしょうか。近年、この「大学院ルート(院免)」を活用して効率的に税理士資格を取得する方が増えています。
この記事では、税理士試験における大学院の科目免除制度の仕組み、免除を受けるための条件、大学院選びのポイント、そしてメリット・デメリットまで詳しく解説します。

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税理士試験の大学院科目免除制度とは
税理士試験は、会計学に属する2科目(簿記論・財務諸表論)と税法に属する3科目(所得税法・法人税法・消費税法など)の計5科目に合格する必要があります。大学院の科目免除制度を利用すれば、このうちの一部が免除されます。
税法科目の免除(税法2科目免除)
大学院で税法に関する修士論文を執筆し、修士の学位を取得した場合、国税審議会の認定を受けることで、税法に属する残りの2科目が免除されます。つまり、税法3科目のうち1科目は試験で合格し、残り2科目は大学院修了で免除されるという仕組みです。
会計学科目の免除(会計学1科目免除)
会計学に関する修士論文を執筆し修士の学位を取得した場合は、会計学に属する1科目が免除されます。こちらも、2科目のうち1科目は試験合格が必要です。
免除を受けるための要件
科目免除を受けるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 大学院で関連科目(税法または会計学)を4単位以上履修していること
- 修士論文を執筆し、修士の学位が授与されていること
- 免除希望分野(税法または会計学)の税理士試験に1科目以上合格していること
- 国税審議会に免除申請を行い、認定を受けること
大学院に入る前に1科目合格している必要はありません。試験合格と大学院修了の順番は問われないため、在学中に試験を受けて1科目合格する方も多くいます。
とはいえ、在学中は論文に時間を取られます。まずは会計科目の入口である簿記論から手をつけて、入学前に学習の貯金を作っておく方が多いです。
大学院ルート(院免)のメリット
合格までの期間を短縮できる
税理士試験の5科目すべてを試験で合格するまでの平均年数は、多くの方が5年以上かかると言われています。大学院ルートを活用すれば、試験で合格が必要な科目数を減らせるため、合格までの期間を大幅に短縮できる可能性があります。
苦手科目を避けられる
税法科目のなかには、ボリュームが膨大で合格率が低い科目もあります。大学院で2科目免除を受ければ、特に難易度が高い科目を試験で受けずに済むケースもあります。
専門知識が深まる
大学院での2年間は、税法を体系的に学ぶ貴重な機会です。修士論文の執筆を通じて特定の税法分野を深く掘り下げることで、実務に直結する専門性が身につくのも大きなメリットです。
人脈が広がる
大学院には同じ志を持つ仲間が集まります。将来の税理士仲間や、すでに実務経験のある社会人学生との交流は、開業後の人脈としても大いに役立ちます。

大学院ルートのデメリット・注意点
学費がかかる
大学院の学費は、2年間で国立大学で約135万円、私立大学で200〜400万円程度が目安です。ただし、奨学金制度や教育訓練給付金を活用できる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
修士論文の執筆が必要
科目免除を受けるためには、税法または会計学に関する修士論文を書き上げる必要があります。論文のテーマ選びや研究の進め方で苦労する方も少なくありません。指導教授との相性も重要な要素です。
論文を書いた経験がないまま入学する社会人も多く、書き方そのものでつまずくケースがあります。論文の構成や引用ルールを解説した入門書を1冊読んでおくと、ゼミでのやりとりが進めやすくなります。
「院免」への偏見がある場合も
一部の業界関係者の間では、大学院ルートで免除を受けた税理士に対して「試験で5科目合格した人と比べて実力が劣るのでは」という見方が存在します。ただし、実務能力は資格取得後の経験で決まるものであり、院免だからといって不利になることは実際にはほとんどありません。
大学院に入学すれば自動的に免除が受けられるわけではありません。必要な単位を履修し、修士論文を完成させ、国税審議会の認定を受けるというプロセスが必要です。
大学院の選び方のポイント
科目免除を目的に大学院を選ぶ場合、いくつかのポイントに注目しましょう。
免除実績が豊富かどうか
過去に多くの修了生が科目免除の認定を受けている大学院は、カリキュラムや指導体制が免除申請に対応していると考えられます。入学前に免除認定の実績を確認するのは必須です。
社会人向けのカリキュラムがあるか
働きながら通う場合は、夜間開講や土日開講、オンライン授業に対応しているかどうかが重要です。社会人向けコースを設置している大学院も増えているので、仕事との両立が可能かを具体的にシミュレーションしましょう。
指導教授の専門分野
修士論文のテーマに合った指導教授がいるかどうかは、論文の質と完成度に直結します。入学前に教授の研究テーマや著書を確認しておくとよいでしょう。
学費と通学のしやすさ
2年間通い続けることを考えると、通学の利便性も無視できないポイントです。学費の総額とあわせて、トータルコストを比較検討しましょう。
参考:KaikeiZine 税理士試験の科目免除が可能な会計大学院を比較

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大学院の授業では財務諸表の読み解きが前提になる場面もあるため、簿記2級レベルまで進めておくと理解が早くなります。3級の内容が入っている方は、そのまま2級のテキストに進むのが自然な流れです。
大学院と試験学習を両立するコツ
入学前に最低1科目合格を目指す
大学院に入学する前に、免除申請に必要な試験合格(税法1科目または会計学1科目)を済ませておくと、在学中は論文に集中できます。簿記論や消費税法など、比較的取り組みやすい科目から挑戦するのがおすすめです。
在学中のスケジュール管理を徹底する
大学院の授業・ゼミ・論文執筆と試験勉強を並行する場合は、週単位のスケジュール管理が不可欠です。特に論文の締め切りが近い時期は試験勉強の時間が取りにくくなるため、早めに計画を立てておきましょう。
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仲間と情報交換をする
同じ大学院に通う仲間との情報交換は非常に有益です。おすすめの予備校情報、試験対策のコツ、論文のテーマ選びなど、リアルな情報を共有できる環境は大きな武器になります。
大学院ルートの費用と投資回収の考え方
大学院に通うための費用は決して安くはありません。しかし、長期的な視点で見ると合理的な投資と言える場合も多いです。
大学院にかかる費用の目安
国立大学の大学院であれば2年間で約135万円程度、私立大学の場合は200〜400万円程度が一般的な学費の目安です。これに加えて、教材費や通学費なども考慮する必要があります。
活用できる経済的支援
教育訓練給付金(専門実践教育訓練)の対象になっている大学院であれば、受講費用の最大70%(年間上限56万円)が支給される場合があります。また、日本学生支援機構の奨学金や、大学独自の奨学金制度も活用可能です。社会人向けの夜間コースや土日開講の大学院であれば、働きながら通えるため、収入を維持しつつ学位を取得できます。
投資回収の考え方
税理士資格を取得すれば、独立開業で年収1,000万円以上を目指すことも不可能ではありません。仮に大学院の費用が300万円だとしても、税理士として稼働し始めれば数年で回収できるケースが多いです。「お金がかかるから」という理由だけで大学院ルートを諦めるのはもったいないと言えるでしょう。
資格取得後にどう働くかで、かかった費用の回収ペースも変わってきます。開業税理士の顧問獲得や料金設定を扱った実務書を読んでおくと、進学前に将来像を具体化しやすくなります。


Q&Aコーナー
Q. 大学院に入る前に試験に合格しておく必要がある?
いいえ、入学前に合格している必要はありません。免除申請の時点で、免除希望分野の試験に1科目以上合格していれば条件を満たします。大学院在学中に受験して合格するパターンも一般的です。
Q. 大学院ルートは廃止される可能性がある?
記事執筆時点において、大学院免除制度の廃止が決定された事実はありません。制度変更の可能性はゼロとは言えませんが、現時点では引き続き活用できる制度です。最新の情報は国税庁の公式サイトで確認しましょう。
Q. 税法と会計学の両方で免除を受けることは可能?
可能です。ただし、それぞれ別の大学院で修士の学位を取得するか、同一大学院で両分野の要件を満たす必要があります。実際に両方の免除を受ける方は、税法系の大学院と会計系の大学院をそれぞれ修了するケースが多いです。
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大学院進学前にやっておくべき準備
大学院への進学を決めたら、入学前の期間を有効に活用しましょう。
税理士試験の科目学習を始めておく
大学院在学中に試験合格も目指す場合は、入学前から簿記論や消費税法などの学習をスタートさせておくのが理想的です。在学中は論文執筆と授業で忙しくなるため、事前に学習の貯金を作っておくと余裕を持って大学院生活を送れます。
簿記の基礎を固めておく
税法系の大学院に進む場合でも、会計の基礎知識は必要です。最低でも日商簿記2級レベルの知識があると、大学院での授業理解がスムーズになります。
簿記2級の学習で仕訳の暗記に頼りすぎると、大学院の会計の議論についていきにくくなります。公認会計士たぬ吉の資格塾は公認会計士が講師を務める簿記の講義動画で、「なぜそう考えるのか」から理解する講義です。講義は短めに区切られ、音声だけでも学べます。
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研究テーマの方向性を考えておく
修士論文のテーマは入学後に正式に決定しますが、大まかな方向性を考えておくと指導教授とのマッチングがうまくいきます。興味のある税法分野(法人税・所得税・消費税・相続税など)について、書籍や論文を読んでおくとよいでしょう。
まとめ
税理士試験の大学院科目免除制度は、5科目合格の負担を軽減し、効率的に税理士資格を取得するための有力な選択肢です。学費や通学の負担はありますが、合格までの期間短縮や専門知識の深化、人脈の形成といった多くのメリットがあります。
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大切なのは、自分の状況に合った学習プランを選ぶことです。試験のみで5科目合格を目指すのか、大学院ルートを活用するのか、両方のメリット・デメリットを比較して、最善の道を選んでください。
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