保育士は、子どもたちの成長を支える国家資格です。待機児童問題や保育の質の向上が叫ばれるなか、保育士資格の需要は年々高まっています。「保育士資格を取りたいけど、独学でも大丈夫なの?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、保育士資格は独学でも取得可能です。養成学校に通わなくても、保育士試験に合格すれば資格を取得できます。実際に毎年多くの方が独学で合格を果たしています。
この記事では、保育士資格の取得ルートから試験の概要、独学での具体的な学習方法まで、合格に必要な情報をすべてまとめました。これから保育士を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

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保育士資格の2つの取得ルート
保育士資格を取得するには、大きく分けて2つのルートがあります。
ルート1:養成施設を卒業する
厚生労働大臣が指定する保育士養成施設(大学・短大・専門学校)を卒業すると、試験を受けずに保育士資格が取得できます。カリキュラムには実習も含まれているため、実践的なスキルが身につくのがメリットです。
ただし、2〜4年の通学期間と学費がかかるため、社会人の方や費用を抑えたい方にはハードルが高い方法です。
ルート2:保育士試験に合格する(独学ルート)
保育士試験に合格すれば、養成施設に通わなくても資格を取得できます。受験費用は約13,000円程度で、テキスト代を含めても数万円以内で済むため、コストを大幅に抑えられます。
社会人の方、主婦の方、すでに別の仕事をしている方でも、仕事や家事の合間に学習を進めて資格取得を目指せるのが大きな魅力です。
独学ルートでは、受験費用(約13,000円)とテキスト代(5,000〜10,000円程度)の合計2万円前後で資格取得を目指せます。養成施設に通う場合の学費(200万〜400万円)と比べると、圧倒的にコストを抑えられます。
保育士試験の受験資格
保育士試験を受けるには、一定の受験資格が必要です。主な要件は以下のとおりです。
| 学歴 | 受験資格の有無 |
|---|---|
| 大学卒業 | 学部・学科を問わず受験可能 |
| 大学在学中・中退 | 2年以上在学かつ62単位以上修得済みで受験可能 |
| 短大卒業 | 学部・学科を問わず受験可能 |
| 専門学校卒業 | 学校教育法に基づく専修学校で2年以上の課程を修了していれば受験可能 |
| 高校卒業 | 1991年3月31日以前に高校を卒業した方は受験可能。それ以降の方は児童福祉施設で2年以上かつ2,880時間以上の実務経験が必要 |
| 中学卒業 | 児童福祉施設で5年以上かつ7,200時間以上の実務経験があれば受験可能 |
大卒・短大卒の方は、保育と無関係の学部を卒業していても受験資格があります。「文学部卒だから受けられないのでは?」と思っている方もいますが、心配はいりません。
受験資格に関する詳細は、全国保育士養成協議会の公式サイトで確認できます。

保育士試験の概要
試験日程
保育士試験は年2回(前期・後期)実施されます。前期の筆記試験は例年4月、後期は10月に行われます。筆記試験に合格した方は、約2ヶ月後に実施される実技試験を受験します。
筆記試験の科目
筆記試験は以下の9科目で構成されています。
- 保育の心理学
- 保育原理
- 子ども家庭福祉
- 社会福祉
- 教育原理
- 社会的養護
- 子どもの保健
- 子どもの食と栄養
- 保育実習理論
各科目100点満点中60点以上で合格となりますが、「教育原理」と「社会的養護」は各50点満点で、それぞれ30点以上が必要です。
実技試験
筆記試験の全科目に合格すると、実技試験を受験します。以下の3分野から2分野を選択します。
- 音楽に関する技術:課題曲の弾き語り(ピアノ・ギター・アコーディオンから選択)
- 造形に関する技術:保育の場面を絵で表現する(当日発表のテーマ)
- 言語に関する技術:お話の素話(3分間で子どもに語りかける)
筆記試験は9科目すべてに合格しなければなりません。ただし、合格した科目は3年間有効です。1回の試験で全科目合格する必要はなく、複数回に分けて合格を目指す方法もあります。
科目合格制度を活かした学習戦略
保育士試験の大きな特徴が「科目合格制度」です。一度合格した科目は3年間有効なので、この制度を最大限に活用した戦略を立てましょう。
1回目で全科目合格を目指す場合
集中的に学習時間を確保できる方は、1回の試験で全科目合格を目指すのも現実的です。必要な学習時間の目安は100〜150時間程度。1日2時間の学習なら、約2〜3ヶ月で対策可能です。
2〜3回に分けて合格を目指す場合
仕事や家事で忙しい方には、科目を分けて受験する方法がおすすめです。
| 受験回 | 対象科目 | ポイント |
|---|---|---|
| 1回目 | 保育原理、保育の心理学、子どもの保健、保育実習理論 | 比較的取り組みやすい科目から着手 |
| 2回目 | 子ども家庭福祉、社会福祉、教育原理、社会的養護 | 法律・制度系の科目を集中対策 |
| 3回目 | 子どもの食と栄養+不合格科目のリベンジ | 残り科目の仕上げ |

独学での具体的な勉強法
ステップ1:テキストで全体像をつかむ(2〜4週間)
まずは保育士試験対策のテキストを1冊用意し、全科目をひと通り読み通します。この段階では細かい暗記は不要です。「どんな内容が出題されるのか」という全体像を把握することが目的です。
市販テキストでは翔泳社の「福祉教科書」シリーズやユーキャンの「速習テキスト」シリーズが定評があります。テキスト選びの際は、最新の法改正に対応しているものを選ぶようにしてください。
ステップ2:科目別に深く学習する(4〜6週間)
全体像をつかんだら、科目ごとに深く学習していきます。特に以下の科目は暗記量が多く、早めの対策が必要です。
- 社会福祉:法律・制度の知識が幅広く問われる
- 子ども家庭福祉:法改正の影響を受けやすい科目
- 教育原理:教育思想家と著書の組み合わせを暗記する必要がある
ステップ3:過去問演習を繰り返す(4〜6週間)
過去問の反復演習が合格への近道です。最低でも過去5年分の過去問を3回以上解くことを目標にしましょう。間違えた問題はテキストに戻って復習し、知識を定着させます。詳しくは以下の記事で解説しています。

ステップ4:実技試験の準備(筆記試験後〜実技試験まで)
筆記試験の合格発表後から実技試験までは約2ヶ月あります。この期間に集中的に実技対策を行います。
- 音楽:毎日の練習が欠かせません。課題曲を暗譜し、弾き語りに慣れましょう
- 造形:45分で背景・人物・彩色まで完成させる時間配分を練習します
- 言語:3分間で話をまとめる練習を繰り返します。声の大きさや表情も意識しましょう
ピアノが苦手な方は「造形」と「言語」の組み合わせがおすすめです。造形は絵のうまさよりも「保育の場面を適切に表現できているか」が評価されます。言語は練習を重ねれば対策しやすい分野です。
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独学で合格するためのコツ
1. 学習スケジュールを立てて管理する
独学では自己管理が重要です。試験日から逆算して、いつまでにどの科目を終わらせるか計画を立てましょう。1日1〜2時間の学習を毎日コツコツ続けることが、合格への近道です。
2. 苦手科目を放置しない
9科目すべてで60%以上を取る必要があるため、得意科目で高得点を狙うよりも、苦手科目の底上げが重要です。苦手科目こそ早めに着手し、繰り返し学習しましょう。
3. 法改正情報をチェックする
保育士試験では、最新の法改正や制度変更に関する問題が出題されます。厚生労働省の保育関連ページで最新情報を確認しておきましょう。
4. SNSや勉強仲間を活用する
独学の弱点はモチベーション維持の難しさです。SNSで同じ試験を目指す仲間とつながったり、学習記録を公開したりすることで、モチベーションを保ちやすくなります。


保育士資格のメリットと活かし方
就職先の幅広さ
保育士資格を取得すると、保育園だけでなく以下のような施設でも働けます。
- 認定こども園
- 児童養護施設
- 放課後児童クラブ(学童保育)
- 乳児院
- 障害児支援施設
- 企業内保育所
- 病院内保育所
需要の高さ
保育士は全国的に人手不足の状態が続いており、有効求人倍率は常に高い水準を維持しています。資格を持っていれば、就職・転職の際に大きなアドバンテージとなります。
資格の有効期限がない
保育士資格には更新制度がなく、一度取得すれば生涯有効です。出産・育児でブランクがあっても、資格が失われることはありません。詳しくは以下の記事で解説しています。



よくある質問(Q&A)
Q. 保育の実務経験がなくても独学で合格できますか?
はい、可能です。筆記試験はテキストの学習と過去問の演習で対策できます。実技試験も練習次第で対応可能です。実務経験がなくても、毎年多くの方が独学で合格を果たしています。
Q. ピアノが弾けなくても大丈夫ですか?
実技試験の「音楽」ではピアノ以外にギターやアコーディオンも選択できます。また、音楽を選ばず「造形」と「言語」の2分野を選択することも可能です。ピアノが弾けなくても問題ありません。
Q. 独学にかかる費用はどのくらいですか?
受験料(約13,000円)、テキスト・問題集代(5,000〜10,000円程度)を合わせて、2万円前後が目安です。通信講座を利用する場合は5万〜10万円程度かかりますが、それでも養成施設に通うよりは大幅に安く済みます。
Q. 何回くらいの受験で合格する人が多いですか?
個人差がありますが、1〜3回の受験で全科目合格する方が多いです。科目合格制度があるため、不合格科目だけを次回の試験で受け直すことができます。
Q. 試験の合格率はどのくらいですか?
保育士試験の合格率は例年20〜30%程度で推移しています。直近の合格率は約26%です。9科目すべてに合格する必要があるため全体の合格率は低く見えますが、科目ごとの難易度はそれほど高くありません。計画的に学習すれば、独学でも十分に合格を目指せる水準です。
受験申し込みには締め切りがあります。試験日の約3ヶ月前が申し込み期間となるため、スケジュールを確認して余裕を持って手続きを進めてください。詳細は全国保育士養成協議会の公式サイトでご確認ください。
まとめ
保育士資格は、養成施設に通わなくても独学で取得可能な国家資格です。受験費用もテキスト代を含めて2万円前後と手軽で、科目合格制度を活用すれば自分のペースで合格を目指せます。
独学で合格するためのポイントをおさらいします。
- まずは受験資格を確認する
- テキストと過去問を中心に学習を進める
- 科目合格制度を活用して計画的に受験する
- 苦手科目を放置せず、バランスよく学習する
- 実技試験は筆記合格後に集中的に対策する
保育士という仕事は、子どもの成長に寄り添えるやりがいのある職業です。ぜひ独学での資格取得にチャレンジしてみてください。
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